【中国電力 清水社長】成長領域での利益拡大へ エネルギービジネスの 新たな可能性を追求する

2021年7月6日

厳しい市場競争にさらされる中、中国電力にとって収益性向上は大きな課題だ。「環境」 と「成長」の両輪で、新たなエネルギービジネスに取り組み、成長領域での利益拡大を目指す。

しみず・まれしげ
1974年大阪大学基礎工学部卒、中国電力入社。2007年執行役員・電源事業本部副本部長、09年常務、11年副社長、16年4月から現職。

志賀 送配電部門の分社によりスタートした2020年度でしたが、振り返ってみていかがでしたか。

清水 昨年4月に中国地域の送配電事業を担う中国電力ネットワークが始動しました。事前にしっかり準備してきたこともあって、大きな混乱もなく新体制に移行でき、台風などの災害や年末以降の電力需給逼迫においても、両社が連携して対応することができました。引き続き、電力の安定供給に努めてまいります。

志賀 決算を踏まえた経営状況については、どう見ていますか。

清水 20年度連結決算は、競争進展に加え、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う上期の生産活動の停滞などにより小売り販売電力量が減少したほか、電力需給逼迫に伴う燃料や電力の調達費用の増加などにより、 16年度以来4年ぶりの「減収・減益」という厳しい結果となりました。

 電力需給逼迫については、数年に一度レベルの強い寒気の影響で全国的に電力需要が急増したことに加え、発電用燃料在庫が減少したことなど、さまざまな要因が同時に重なったことによるものと考えています。当社グループの業績への影響としては、連結経常利益ベースで150億円程度の減益要因となりました。需給逼迫の経緯と原因や今後の対策については、国の審議会で検証・検討されていますが、当社としても電力の安定供給の確保に向けて最大限努力していきます。

 このように厳しい経営環境にありますが、業績の回復には電気事業の収益性の向上が不可欠であり、総販売電力量の低下に歯止めを掛けるとともに、グループを挙げてより一層の効率化を進め、利益のさらなる上積みに取り組んでまいります。

 こうした取り組みを進めるため、昨年1月に、当社グループの将来を展望した新たなグループ経営ビジョン「エネルギアチェンジ2030」を策定しました。足元の経営状況をしっかりと検証し、軌道修正を図るという一連のPDCAサイクルの中で、30年度の目標達成に向け着実に取り組みを進めていきます。

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