【中国電力 清水社長】成長領域での利益拡大へ エネルギービジネスの 新たな可能性を追求する

2021年7月6日

脱炭素社会の実現へ 再エネと原子力が鍵

志賀 30年のCO2削減量を13年度比で46%とする政府目標が提示されました。相当高いハードルですが、御社として目標達成にどう貢献していきますか。

清水 これまでの目標を大幅に引き上げるもので、非常に高い目標と受け止めています。現在、国において「エネルギー基本計画」や「地球温暖化対策計画」などの見直しに向けた議論が進められていますが、今回の政府目標を踏まえたさらなる議論が行われるものと認識しています。

 当社としては、国の動向も踏まえながら、再生可能エネルギーの導入拡大、安全性の確保を大前提とした原子力発電所の早期稼働、火力発電のさらなる高効率化やバイオマス混焼などの運用面での脱炭素化、さらには電化促進などにより、安定供給を確保しつつ、CO2排出削減に向けて最大限取り組んでいきます。

 当社のCO2排出量は、再エネの増加や火力発電量の減少などにより、低下傾向にあります(パリ協定基準年度の13年度4228万t‐CO2↓19年度2938万t‐CO2)。島根2号機の再稼働および3号機の運転開始によるCO2排出抑制効果は年間700万t‐CO2程度と試算しています。

志賀 次期エネルギー基本計画策定に向けた議論が進んでいます。何を期待しますか。

清水 エネルギー基本計画の見直しに当たっては、今般示された「2050年カーボンニュートラル」を踏まえた検討が進められていると認識していますが、そうした環境変化を踏まえても、資源の乏しいわが国においては、「S+3E」の観点で、特定の電源や燃料に過度に依存しない、バランスの取れた電源構成の実現を目指していくことが引き続き重要だと考えています。

 その上で、50年カーボンニュートラルの実現に向けては、再エネのさらなる導入拡大とともに、原子力についても、既に確立された脱炭素技術として、一定程度、継続的に活用していくことが不可欠になってくるものと考えています。そういった意味で、現在の計画にある「依存度低減」という記載を見直すとともに、運転期間制度の見直しを含む長期運転に向けた方向性や、将来的な位置付けを明確にする観点で、リプレース・新増設についても明示していただくことを期待しています。

 火力については、再エネの導入が進む中、調整力、慣性力、同期化力といった観点から、今後も引き続き一定程度は活用していく必要があると考えています。非効率石炭火力のフェードアウトはしっかりと進めていきますが、国においては、高効率石炭火力を含む火力発電の必要性について明確に示していただきたいと考えています。

 さらに、このような電力業界の脱炭素化のみならず、需要側の電化や省エネルギーを含め、社会全体で課題と向き合い、実現に向けた取り組みを進めていく必要があります。そして、それを社会全体で支えていくことについての理解が進むよう、次期エネルギー基本計画を通して、そうしたメッセージが広く発信されることを期待しています。

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