【中国電力 清水社長】成長領域での利益拡大へ エネルギービジネスの 新たな可能性を追求する

2021年7月6日

カーボンニュートラル 新技術で挑戦

志賀 今年2月、「2050年カーボンニュートラル」に挑戦していくことを表明されました。実現に向け、どのように取り組んでいく考えですか。

清水 当社は、これまでも、再エネ開発を積極的に進めるとともに、大崎クールジェンプロジェクトでの石炭火力発電所から排出されるCO2分離回収の実証試験や水島発電所での事業用発電所としては国内初となるアンモニア混焼試験など、CO2排出削減に向けた技術の開発・導入に取り組んできました。

 また、グループ経営ビジョンにおいては、気候変動の緩和を重要課題として設定し、地球環境問題への貢献に向けて取り組んでいくこととしています。グループ経営ビジョンの達成に向けて着実に取り組みを進めるとともに、その先にある「2050年カーボンニュートラル」を見据え、ロードマップの具体化などの検討を行っていくこととしており、CO2を回収しカーボンリサイクルにつなげる技術の開発、水素・アンモニアによるカーボンフリー発電技術の導入に向けた検討を進めています。

志賀 再エネへの取り組み状況はいかがですか。

清水 これまで、当社グループは、太陽光・風力発電の開発に加え、既存水力の効率向上、広島県との地域還元型メガソーラー事業や、島根県隠岐諸島におけるハイブリッド蓄電池システム導入など、再エネ導入拡大に積極的に取り組んできました。4月には、既存水力のリパワリングとして、滝山川発電所の水車・発電機の取替工事が完了し、運転を開始しました。

 バイオマス発電については4月に、広島ガスとの共同出資によるバイオマス・石炭混焼発電の海田発電所と、エア・ウォーターとの共同出資によるバイオマス専焼発電の小名浜バイオマス発電所の運転を開始しました。

 グループ経営ビジョンで「2030年までに再エネ30万~70万kWを新規導入」を掲げていますが、20年代中盤には新規導入量は約30万kWとなる見込みです。今後は特に成長分野と見込まれる洋上風力の開発を積極的に進めることで、さらなる導入量の上乗せに取り組んでいきます。このため、現在、エリア内外を問わず、有望案件への参画に向けて、さまざまな企業と協議を行っています。

志賀 島根2号機の再稼働、島根3号機の営業運転開始の見通しについてはいかがでしょうか。

清水 島根2号機については、5月に原子炉設置変更許可申請に係る補正書を原子力規制委員会に提出しました。およそ7年半にわたり同委員会による新規制基準への適合性審査を受けてまいりましたが、提出した補正書にはこれまでの審査内容を反映しています。新規制基準の適合性審査における一つの節目と受け止めています。

適合性審査が進む島根原子力発電所

 島根3号機は、建設当初に計画した機器の据え付けおよび燃料装荷までに行われる使用前検査は全て終了しています。18年には、原子力規制委員会へ原子炉設置変更許可申請を行いました。2、3号機ともに、原子力規制委員会の審査に適切に対応することはもとより、さらなる安全性の向上を不断に追求し、島根原子力発電所の安全確保に万全を期します。

 また、自治体などに対し、審査状況などについて適宜丁寧に情報提供を行うなど、誠実に対応してまいります。

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