【北海道電力 藤井社長】地域資源を有効活用し オール北海道で脱炭素社会の実現目指す

2021年12月2日

多種多様な道内、道外の企業と連携を図り、再エネ資源に恵まれた北海道の地の利を生かし、水素サプライチェーン構築に向けた取り組みに着手した。オール北海道で新たな価値を創り上げる「共創」を進め、持続可能な社会の実現を目指す。

志賀 4月にカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを発表しました。

藤井 昨年公表した「ほくでんグループ経営ビジョン2030」の取り組みを一層深化させ、2050年の北海道におけるエネルギー全体のカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦し、地域の持続的な発展に貢献していくことが取り組みの趣旨です。経営ビジョンで掲げた通り、泊発電所の早期再稼働や経年化した火力発電所の休廃止などによって、30年の環境目標「CO2排出量を13年度比50%以上低減(1000万t以上低減)」「道外を含む再生可能エネルギー発電30万kW以上拡大」を達成するとともに、水素・アンモニアの利活用、CCUS(CO2の回収・利用・貯留)といった革新的技術の活用などあらゆる手段を総動員し、50年までに「発電部門からのCO2排出ゼロ」を目指します。

 需要側においては、日本のエネルギー起源CO2排出量の過半を占める非電力によるエネルギー消費、とりわけ北海道では暖房需要における化石燃料の直接燃焼をいかに減らしていくかが重要です。これには電化が大きな役割を担いますので、ESP(エネルギーサービスプロパイダー)やZEBコンサルなど、ほくでんグループとしてトータルエネルギーソリューションサービスによる電化の拡大を押し進めていきます。電化が困難な需要に対しては、グリーン水素などの供給に向けた検討を進め、電力以外のエネルギーのCO2排出削減にも貢献していきたいと考えています。

脱炭素はチャンス オール北海道で挑む

志賀 政府が示す「46%」を超える「50%削減」という目標に、脱炭素をチャンスと捉えたという印象を持ちました。

藤井 カーボンニュートラル社会に移行するには、コストがかかります。国民負担を増やすことなく達成するには、国や事業者が知見を持ち寄りながら、既にあるものを有効活用することが最優先です。再エネ資源が豊富な北海道にとってカーボンニュートラルは地域活性化に向けた千載一遇のチャンスであり、当社単独ではなくオール北海道で土壌を整える必要があります。

 また、再エネ資源が豊富だということは、CO2を排出しないグリーン水素製造の適地となり得るということです。水素は、火力発電の脱炭素化、余剰再エネ電力の貯蔵・利用、電化困難な産業部門への導入など、さまざまな用途が見込めるキーテクノロジーですが、一方で、コストやインフラ整備など多くの課題が山積しており、国や道、自治体、他企業などと連携し、水素サプライチェーンを構築していく必要があります。


ふじい・ゆたか
1981年宇都宮大学工学部電気工学科卒、北海道電力入社。
2015年取締役常務執行役員流通本部長、
16年取締役副社長流通本部長などを経て19年6月から現職。

1 2 3 4