【北海道電力 藤井社長】地域資源を有効活用し オール北海道で脱炭素社会の実現目指す

2021年12月2日

志賀 小売り事業における他社との協業についての現状はいかがでしょうか。

藤井 20年7月に北海道エネルギーと業務提携し、電気のみならず、ガソリンや灯油の定期配送をお得にご利用いただける「エネとも会員サービス」を開始しました。また、今年2月からは、ご家庭向けの電気・ガス販売に関して、KDDIと販売代理契約を締結し、サービスを開始しました。今後も引き続き、当社をお選びいただけるよう、当社にはないサービスや商材、お客さまとのつながりを持った企業との業務提携を積極的に進めていきたいと考えています。

志賀 今年、創立70周年を迎えました。

藤井 1951年の創業以来、ほくでんグループは、北海道の皆さまに「北のあかり」を灯し続けることを第一の使命として事業を行ってきました。これまで支えていただいた皆さまへの感謝の気持ちを忘れずに、これからも電気を絶やすことなくお届けし、安心してお使いいただけるよう努めていきます。

 また電気に加え、ガスや省エネルギーにつながるご提案など、お客さまの多様なニーズにお応えするサービスを提供していきます。さらに、地域環境保全に配慮し、再エネ発電事業や原子力発電事業、水素事業などの取り組みを進めるとともに、ご家庭や業務部門をはじめとした各分野における電化を推進しカーボンニュートラルの実現に最大限挑戦していきます。

志賀 今後の抱負をお聞かせください。

藤井 創立70周年の節目は、今後80年、90年、100年と当社が持続的に成長し、これからの北海道の発展のためにいかに貢献していくかを考えるタイミングだとも思っています。経営環境が大きく変化するなかにあっても、「北海道の発展こそがほくでんグループの事業基盤になる」との認識に変わりはありません。70周年の節目をさらなる飛躍の契機と捉え、経営環境の変化に的確に対応し、総合エネルギー企業として持続的な成長を目指していきます。

 また、北海道の皆さまと新たな価値を創り上げる「共創」の取り組みを着実に進めることにより、持続可能な社会の実現に向けて「ゼンリョク」で取り組んでいきます。

 脱炭素化や新型コロナウイルス感染症の拡大などにより、お客さまの価値観やライフスタイルの変容が進んでおり、今後さらに加速していくことが予想されます。ほくでんグループとして、多様なお客さまのニーズに対してご期待の一歩先をいくサービスを提案していくことを通じて、道外からの企業誘致や、さらには移住していただけるような魅力ある地域づくりに貢献していきます。

対談を終えて

再エネ資源に恵まれた北海道の地の利を生かし、原子力発電所が再稼働すれば、国の2030年度CO2削減目標「46%」を上回る「50%」を新目標とすると宣言した。これを高い原発比率、薄い需要密度、細い本州との連系線などの北海道のハンデを一気に解消する千載一遇のチャンスと捉え、地域活性化に向け、オール北海道でこの挑戦に取り組もうと新たな可能性に意欲を見せる。「ほくでんガス」の出足も好調。終始明るい表情が印象的だった。(本誌/志賀正利)

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