【北海道電力 藤井社長】地域資源を有効活用し オール北海道で脱炭素社会の実現目指す

2021年12月2日

低廉化と安定化へ 泊再稼働は不可欠

志賀 脱炭素に向けては、原子力発電所の活用は欠かせません。泊発電所の審査状況についてはいかがでしょうか。

藤井 当社はこれまで、泊発電所の敷地内断層の評価にあたって、開削調査などさまざまな調査・分析などを行い、「敷地に認められる断層は将来活動する可能性のある断層等ではない」との当社評価について、原子力規制委員会のご理解が得られるよう、総力を挙げて取り組んできました。7月の新規制基準適合に関わる審査会合では、当社の評価が「概ね妥当」と認められ一つのステップを越えたと考えていますが、このほかにもまだ審査項目は残っていますので、引き続き総力を挙げ適切に取り組んでいきます。

 プラント側の審査項目については、8月の審査会合で、本年9月から22年9月まで約1年をかけて説明したいと考えていること、そして9月の審査会合では、防潮堤の設計変更に伴う設計の考え方についてご説明しました。現在の防潮堤は撤去し、液状化の影響を考慮した岩着構造による防潮堤を新設する計画です。今後、この防潮堤が再稼働に向けての大きなポイントになると考えています。

志賀 12年に運転停止して以降、審査が長期化しています。改めて、泊発電所の必要性をどのように考えていますか。

藤井 50年のカーボンニュートラルの実現に向け、北海道においても再エネのさらなる導入拡大や既設水力の出力向上・安定稼働などとともに、電源の脱炭素化に寄与する電源として原子力を最大限に活用していく必要があります。火力発電所の経年化の進展や非効率石炭のフェードアウトなどを見据えると、北海道内における電力の安定供給を確保しつつ、競争力のある電源構成を実現する観点からも、安全確保を大前提に、早期再稼働を目指していくという方針に変わりはありません。脱炭素化を進めながら電気料金をできる限り安く、安定供給を実現していくためには、原子力は必要だと考えています。

ほくでんグループ「カーボンニュートラル2050ロードマップ」

志賀 電力・ガス自由化以降、電力需要を取られるばかりでしたが、昨年10月に都市ガス事業に参入し、いよいよ攻勢に転じましたね。

藤井 お客さまに当社の電気を選んでいただくために、ガスとのセット販売は欠かせないとの考えから「ほくでんガス」の販売を開始しました。多数のお客さまからお問い合わせ、ご契約をいただき手ごたえを感じています。参入以降、お客さまの都市ガスご利用形態に応じて選択いただけるよう料金プランを順次拡充しており、販売活動にも力を入れているところです。

今年10月には、新たな料金プランをご用意し、道央圏で家庭用コージェネを利用するご家庭を除く全てのお客さまに、お得なほくでんガスをお選びいただけるようになりました。また、ガス機器故障でお困りのお客さまの声にお応えするため、全てのお客さまを対象にガス機器故障時の出張費を無料とした「かけつけ無料サービス」を開始しています。当社の電気と合わせてご契約いただくことで、どの料金プランでも北海道ガスよりお得になりますので、さらに契約数を伸ばしていけるものと考えています。

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