【日本原電 村松社長】地域の理解を得るとともに 技術革新に挑戦し 脱炭素社会に貢献する

2022年4月2日

カーボンニュートラルの実現に向け、改めて原子力活用の重要性が国内外で見直されている。原子力専業会社として、イノベーションと人材育成に積極的に取り組む方針だ。

【インタビュー:村松衛/日本原電社長】

志賀 昨年10月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画における原子力の位置付けをどう受け止めていますか。

村松 第五次エネ基と同様、2030年の電源構成に占める原子力比率の目標が20~22%に据え置かれたことを、大変心強く思っています。PWR(加圧水型原子炉)に続き、BWR(沸騰水型原子炉)の設置変更許可の取得が続いており、再稼働を巡る環境は前進しています。第六次エネ基では新たに、30年に向けた「重要なベースロード電源」であると同時に、50年に向けたシナリオとして「脱炭素化の選択肢」とも位置付けられました。関西電力美浜発電所3号機が、新規制基準施行後初の40年超プラントとして稼働しましたし、この方針に沿って着実に再稼働が進むことを期待しています。

 しかしながら、現状では新規制基準に適合し再稼働した原子炉はPWRの10基にとどまっています。当社は、原子力規制委員会の審査に真摯に対応するとともに新規制基準に基づく安全性向上対策工事を安全第一で進め、地域の皆さまにご理解をいただけるよう説明を尽くしていきます。

むらまつ・まもる 1978年慶応大学経済学部卒、東京電力入社。2008年執行役員企画部長、
12年常務執行役経営改革本部長、14年日本原子力発電副社長、15年6月から現職。

 一方で、今回新増設・リプレースについて言及されなかったことは大変残念に思っています。資源の乏しい日本において、3E(安定供給、経済性、環境適合性)のバランスに優れる原子力発電の果たす役割は大きく、実用段階にある脱炭素化の選択肢として、また安全の確保、技術・人材・産業基盤を維持する観点から、将来にわたって一定規模の原子力発電を確保する必要があります。そのためには、足元の既設発電所の稼働のみならず中長期的には新増設・リプレースが不可欠です。

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