【日本原電 村松社長】地域の理解を得るとともに 技術革新に挑戦し 脱炭素社会に貢献する

2022年4月2日

24年9月の完了へ 安全第一で工事進める

志賀 原子力専業会社として東海第二の再稼働が欠かせません。

村松 東海第二発電所は、18年度に新規制基準に基づく一連の許認可を取得し、安全性向上対策工事を進めています。現在は、防潮堤周辺の地盤改良・鋼管杭設置、高圧電源装置設置のための置場築造、緊急用海水ポンプピットの築造、既設設備の耐震補強、埋設ケーブルの干渉物移設などを行っている段階です。

 19年9月には、特定重大事故等対処施設(特重施設)に関する原子炉設置変更許可を申請し、その後約2年を経て21年12月にBWRで初めて原子力規制委員会から許可をいただきました。特重施設と本体施設で兼用する設備を含めて設計内容と工事工程の見通しがまとまったため、今年2月28日に、「特重施設の設計及び工事計画認可」を申請するとともに、特重施設を含めた安全性向上対策工事の計画について、原子力規制委員会に変更届を提出しています。まずは新規制基準に基づく安全性向上対策工事を安全第一で着実に進め、24年9月の工事完了を目指します。工事の状況について、地域の皆さまへの丁寧なご説明が必要と考えており、21年11月には、東海村で初めて全戸を対象とした訪問対話活動に取り組みました。

東海第二発電所で進む防潮堤の建設工事

志賀 21年3月の水戸地裁判決への対応についてのお考えは。

村松 当社は判決後、速やかに控訴し12月21日に答弁書を提出しました。発電所の安全対策に欠けるところがないと認定し、放射性物質を異常放出する重大事故が発生する蓋然性は認めていないにもかかわらず、異常放出を想定して策定される避難計画に欠けるところがあるとして人格権侵害の「具体的危険性」があるとすることには、明らかな矛盾があります。また避難計画の作成、原子力災害対策に関わる緊急時対応の検討は途上にあり、その判断時期を見誤った極めて不合理なものと考えており、引き続き、控訴審において原判決を取り消していただけるよう、しっかりと取り組んでいきます。

志賀 自治体の避難計画作成への原電の取り組みは。

村松 現在、茨城県や関係自治体、内閣府の作業部会などにおいて、東海第二の地域における避難計画の具体化に向けた議論が鋭意行われています。当社としては、住民の皆さまの避難が必要となるような事故を起こさないよう、安全性向上対策を進めていくことはもちろんですが、想定外に備えて各自治体の広域避難計画の策定やその具体化など、地域の防災に対して、事業者としてできる限りの役割を果たしていきます。

 具体的には、昨年11月に隣接する那珂市主催の原子力防災訓練に協力させていただくなど、自治体における各種訓練への積極的な参画、自治体や消防・警察など実働機関を対象とした研修会や視察会の実施など、平常時からの連携強化のため、さまざまな取り組みを進めています。さらには、緊急時の住民の皆さまの避難行動への協力を見据え、原子力事業者12社による原子力災害時における原子力事業者間協力協定を21年3⽉に⾒直し、派遣要員数が300人から3000人体制へと大幅に拡充されています。また、東海第二発電所の受電会社であり茨城県を供給エリアに持つ東京電力ホールディングス、東海村内に事業所を置く三菱原子燃料、原子燃料工業、日本原子力研究開発機構、また日本福祉車輌協会と協力協定などを結び、協力要員の確保に努めています。

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