【日本原電 村松社長】地域の理解を得るとともに 技術革新に挑戦し 脱炭素社会に貢献する

2022年4月2日

実現への期待高まる 敦賀3、4号機増設

志賀 敦賀2号機を巡っては20年2月、地質データに関する審査資料の書き換えが判明しました。

村松 敦賀発電所2号機のボーリング柱状図記事欄の書き換えにより、地元の皆さま、関係者の皆さまにご心配とご迷惑をおかけしており改めてお詫び申し上げます。昨年8月の規制委員会で、調査データのトレーサビリティーの確保と複数の調査手法により評価した場合の判断根拠の明確化、この二つが確保される業務プロセスについて優先的に検査するというご判断をいただき、10月の第3回公開会合で、当社が4月以降に提出した審査資料をもとに規程やエビデンスを用いてご説明しました。その中で、規制委員会のご指摘により規程の見直しに加えて新たな規程の制定を行うこととしました。

 11月2日の規制委員会では、原子力規制庁から今後の進め方として、当社が社内規程の改正などを終了し、審査資料の準備ができた段階で再度検査し、その結果を規制委員会に報告することが示されました。当社は、昨年12月末までに審査資料の作成に関わる社内規程の改正などを行い、現在新たな規程に基づき審査資料の品質に問題がないか確認し、十分でない資料があれば新たなプロセスに従い資料の見直し作業を進めています。品質が確保された審査資料を確実に整え、原子力規制検査で確認いただけるよう、引き続き全力で取り組んでいきます。

志賀 敦賀3、4号機増設計画はどのような状況になっていますか。

村松 既に敷地造成は完了し、現場の維持管理を継続中です。地元から引き続き大きな期待を寄せていただいており、こうした期待に応えるべく、早期実現に向けた取り組みを継続していきたいと考えています。これから建設していくプラントとして、福島第一原子力発電所事故の教訓の反映や既設プラントの審査状況も踏まえて、より一層安全性、信頼性の高いプラントにすることの検討を進めていきます。

 炉型も決まっていることもあり、次のエネ基で新増設・リプレースの明確な方針が示されることが大前提ではありますが、非常に優先順位の高いプラントだと考えています。今後の工程は、国におけるエネルギー政策、安全規制に係る状況などを踏まえ、見通しが立った時点で明らかにしていきます。

敦賀3、4号機は敷地造成を終えている

志賀 長期間運転(60年以上)とカウントストップについてはどうお考えですか。

村松 原子力発電所の40、60年といった運転期間は、法律で定められたものですが、技術的な観点から申し上げれば、一律に制限されるものではなく、科学的、技術的な観点から個々のプラントごとに判断されることが望ましいと考えています。

多様な研究開発に協力 イノベーションに挑戦

志賀 六ヶ所再処理工場運転開始への期待はいかがでしょうか。

村松 資源に乏しいわが国は、長期的なエネルギーセキュリティー確保、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化などの観点から、原子力開発当初から再処理路線を選択しており、長きにわたり国の重要な政策として位置付けられてきました。当社としても、日本原燃への出向協力、高速増殖炉(FBR)開発に対する協力、使用済燃料中間貯蔵事業の推進、放射性廃棄物の最終処分対策への支援など、原子燃料サイクルの推進に努めていきます。

志賀 海外での開発事例などを踏まえ、高速炉開発の取り組みと展望をどう見ていますか。

村松 研究開発段階にある高速炉については、国による高速炉開発会議の下、関係者が連携し、適切な役割分担を行った上で進められるものと認識しています。また、19年6月には、日仏間で高速炉に関する研究開発協力について、シミュレーションや実験に焦点を当てた新たな協力を開始するための一般取り決めが締結され、今年1月には、米国のテラパワー社とエネルギー省(DOE)が計画している高速炉開発計画に、日本から日本原子力研究開発機構などが、技術協力の面などで参加するとの報道がありました。引き続き、米仏における高速炉開発の動向を注視していきます。

 当社は現在、もんじゅ廃止措置のプラント管理と高速炉開発への協力として、社員が出向しており、原子燃料サイクル政策の下、高速炉の重要性に鑑み、今後も研究開発について可能な限り協力していきます。

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